コンサルから事業会社に移って分かったこと|「提案して終わり」から「成果まで自分事」へ
この記事の要点
- 働く環境は明確に良くなる。コンサルの激務と比べ、事業会社はワークライフバランスを確立しやすい
- コンサルは「提案して終わり」が多いが、事業会社は提案の結果=成果が自分の評価に反映される
- 組織の一員として目標を共有して働くのが好きな人には、事業会社は良い環境
コンサルタントのキャリアの出口として、事業会社への転職は王道です。ただ、実際に移った人がどう感じているかの一次情報は意外と少ない。
筆者はコンサルティングファームから事業会社へ移り、そこでFP&Aとしてのキャリアが始まりました。この記事では、移って良かったこと・戸惑ったことを、実体験ベースで率直に書きます。
良かったこと1: 働く環境が明確に良くなった
ワークライフバランスは確立しやすくなる これは一般的なイメージ通りでした。コンサルティング会社はとても激務で、ワークライフバランスを取るのは難しい場合が多い。筆者の場合もそうでした。
一方、事業会社はもちろん会社にもよりますが、コンサルほどは忙しくないため、ワークライフバランスの確立がしやすい。これは移って最初に実感した、はっきりした変化です。
コンサル時代の激務は未経験からの転身期に耐えた経験として財産になりましたが、それを何十年も続けられるかは別の話です。ライフステージが変わるタイミングで事業会社を選ぶ人が多いのは、合理的だと思います。
良かったこと2: 「みんなで目標に向かう」働き方
帰属意識のある組織で働くということ 事業会社にはコンサルティング会社よりも、自分の会社への帰属意識——いわゆる愛社精神のようなものがあります。1つの組織の一員として、みんなで目標を共有し、そこに向かって仕事をしていく。この働き方が好きな方にとって、事業会社はいい環境です。
コンサルはプロジェクトごとにクライアントが変わる傭兵的な働き方で、それはそれで鍛えられますが、「この会社の数字を良くしたい」という当事者の熱量は、中に入って初めて持てるものでした。
FP&Aはまさに「会社の数字」を扱う仕事なので、この当事者性との相性が良い職種です(FP&Aとは何か)。
最大の違い: 提案して終わり、ではなくなる
成果まで自分の評価に返ってくる コンサルティング会社では、クライアントに提案して終わり、ということが多くあります。実行まで併走する案件もありますが、構造的には「提案が納品物」です。
事業会社は違います。提案だけでなく、その結果の成果が自分の評価に反映されます。「提案して終わり」は基本的にありません。自分の分析が意思決定になり、実行され、数字になって返ってくる——ここまでがワンセットです。
これは事業会社で働く醍醐味であると同時に、緊張感でもあります。外した提案の結果とも向き合うことになるからです。
戸惑ったこと: ステークホルダーの多さ
移行がスムーズだったわけではありません。最も苦労したのは社内での立ち回りです。
コンサル時代は基本的にクライアントと対峙していればよかったのに対し、事業会社では自分の業務に関わるステークホルダーが一気に増えます。事業部門の現場から事業責任者、コーポレート側の幹部まで、その全員との関係の中で価値を出すことが求められる。分析力とは別の筋肉が必要でした。
この「社内政治力」を消耗と見るか、実行力の一部と見るか。事業会社で成果を出す人は例外なく後者です。
コンサルから事業会社が向いている人
両方を経験した筆者の整理です。
| 事業会社が向いている | コンサル継続が向いている |
|---|---|
| 提案の先の「実行と成果」まで見届けたい | 多様な業界・テーマを高速で回りたい |
| 1つの組織で目標を共有して働きたい | 組織への帰属より個の専門性を磨きたい |
| ワークライフバランスを確立したい | 高負荷環境での成長速度を優先したい |
| 社内の合意形成も仕事の一部と思える | 利害関係の外から助言する立場が好き |
なお、事業会社の中でもファイナンス・FP&Aはコンサル出身者の分析力が直接活きるポジションです。外資系を選ぶ場合の環境の違いは外資系と日系のFP&Aはどう違うかを参照してください。
まとめ
- 働く環境は明確に良くなる。ワークライフバランスは事業会社のほうが確立しやすい
- 帰属意識のある組織で、みんなで目標を共有して働く感覚はコンサルにはないもの
- 最大の違いは「提案して終わり」ではなく成果まで評価に反映されること
- 苦労はステークホルダーの多さ。社内の立ち回りは分析力とは別のスキル
- 選考では「なぜ事業会社か」を必ず問われる。面接対策とセットで準備を